今作でドットキャラを担当した
加藤へのインタビューの第3回です。
自画像
――
では続いて、今回の
『ブラッド オブ バハムート』の
ドットキャラが
どのような手順で描かれたのか
紹介したいのですけど。
加藤
はい。
――
せっかくなんで、
ユイで説明していくかたちで
いいでしょうか?(笑)
加藤
まあ、みんな
同じようなものですけど(笑)。
まず、キャラクターデザインの
ラフが上がってきます。
デザイン当時のラフ画。
――
吉岡さん(*)がデザインした
イラストがあるんですよね。
(*)吉岡愛理。
今作のキャラクターデザインを担当。
加藤
それを見ながら、
イメージを作っていきます。
――
あ、今回、ドットキャラの大きさも
なかなか決まらなかったんですよね。
プロジェクトの最初の頃は
何パターンか試行錯誤しました。
加藤
ああ、そうですね。
――
『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』のときは
16ドット×32ドットの
2頭身キャラでした。
加藤
ええ。
『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』のドットキャラ。
――
『ブラッド オブ バハムート』でも
最初、その大きさで作ってみたり
したんですよね。
その時の貴重なドット絵がこちら!
加藤
いくつも試行錯誤して。
大きさと頭身と、
何パターンか作って。
同じ大きさで頭身を変えたもの。(16×32)
サイズを大きくしたもの。(24×40)
もっとサイズを大きくしたもの。(32×48)
――
結局、高さ40ドットに収めることに
なったんですよね。
――
で、この頭身で
ユイのドット絵も
描いたわけですね。
加藤
まあ、ユイは
かなり苦労したんですけど。
――
結構、修正が入りましたよね。
加藤
いろんな人から意見があって(笑)。
――
(笑)。
みんな、女の子には
思い入れが……。
最初のユイ。髪の色も違いました。
――
体型にも、変更ありましたよね。
加藤
割と、最初は
ガッチリしてたんですけど(笑)。
「もっと女の子ぽくしてください」と
要望があったんで。
――
そこで「女の子っぽく」するために
どうしたんでしょうか。
加藤
んー。内股にしたりとか?(笑)
――
あ、なるほど。
結局これに落ち着きました。
加藤
可能な限りやってみる、という。
小さいんでできそうにないものでも、
とりあえずチャレンジしてみる。
――
いや、でも、それで実際に
できちゃうところが凄いです。
この小ささで、
確かに内股になってますし。
加藤
結構、失敗することも
多いんですけど。
――
えっ。
加藤
しばらく悩むと
なんとかなります(笑)。
――
なるほど(笑)。
もう、経験やセンスによる
部分が大きいんですね。
――
加藤さんが
これまでの経験で編み出した
ドット絵のコツとか
マル秘テクニックなんて
ありますか?
加藤
うーん……。
――
明かせる範囲でいいんですけど。
加藤
うーん……。
ひたすらいっぱい描いて
自分でデータベースを
整えておくことくらいですね。
そうすると勝手に
できていく、って感じで。
――
ほー。
加藤
あまり口で言うのも
恥ずかしいですけど(笑)。
横山
もうなんか、あれだね。
職人の話を聞いてるみたいだね。
――
そうですねー。
横山
職人同士ならわかる、というか。
――
できあがったものだけ見れば
そこにどんな工夫があるかは
もう、わかるんでしょうね。
加藤
コツを知ってる人なら
色々言えるのかも
しれないですけど、
僕の場合、
完全に自分でやってきたんで、
自分の頭でやったものしか
ないんですよね。
――
あー。
独学で身につけたものって
おっしゃってましたからね。
横山
うん。
――
いや、さっきのみたいに
頭身バランスを変えても
描けるところとか
本当に凄いんですけど。
ちょっと、その秘密を
少しでも探れないかなーと
思ったんですが。残念(笑)。
横山
こういう仕事を目指す若い人たちにも
この記事を読んでもらって、
独学でもキチンとやっていけば
清文さんみたいなステージに
辿り着くことはできるんだ、と
思ってもらえれば、ありがたいですね。
――
教わってできるような
テクニックじゃ
ないってことですね。
職人だなあ。
加藤
あ、でもいっこ、あれですね。
今回、ザコ敵のドット絵で一部、
3Dで作ったやつがあるんですけど。
――
あ、はいはい。
加藤
3Dモデルを作って
縮小してドットを打ち直す、
というやり方もあります。
――
なるほど。
そういう新しいやりかたも
取り入れつつ。
加藤
もっと早く気づけば
よかったんですけど(笑)。
――
(笑)。
――
今回チャレンジしたこと
というのは
なにかありますか?
加藤
頭身のちょっと
高めのキャラというのが。
――
あ、そうですよね。
このくらいの頭身のキャラって
なかなかないですね。
加藤
この頭身で、
アクションの豊富なやつを
作れるか、というのは。
しかも納期内に(笑)。
――
確かに(笑)。
加藤
それをクリアするのが
チャレンジでした。
――
最後に、
今後チャレンジしてみたいことは
ありますか?
加藤
もっと大きいキャラというのは
チャレンジしてみたいです。
アクションがいっぱいあるやつ。
『ヴァルキリー・プロファイル』みたいに。
――
あー。
ドット絵なのに
ヌルヌル動くような。
加藤
あと平面ポリゴンの
多関節キャラというのも
やり甲斐がありそうです。
――
あ、いいですねー。
見てみたいです。
今日はありがとうございました。
加藤
はい。ありがとうございました。
明日は、
各キャラクターの特徴と戦い方を紹介。
第1弾はやっぱり主人公「イブキ」です!