「ブラッド オブ バハムート」の開発スタッフ
(共同ディレクター・石山貴也)による
ゲーム解説やスタッフインタビューを
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今作のアートディレクター、
松田俊孝インタビューの第2回です。


bob_blog_ph0603_01.jpg



■タイトルロゴにもチャレンジ


――
松田さんは今回、
タイトルロゴのアートデザインも
担当されましたよね。


bob_blog_ph0603_02.jpg


横山
ロゴって初めてですか?
今回のが。


松田
そうですね。
以前、ロゴをやらせていただく
話もあったんですが
諸事情(ボツ)にて
かないませんでした。


横山
じゃあ、今回は。


――
今回は!


松田
今回は!
……というか
(巨獣も)全部そうなんですけど、
今まで最初から「できる!」と思って
やったものって、ないんですよ。


横山
へえー、意外!


――
意外ですね。


松田
今回、ロゴって言われたときも、
とりあえず「できる」と
自分に言い聞かせて(笑)
がむしゃらにガーッと描いて、
色々なオーダーと照らし合わせつつ、
形になるんですけど、
それから2~3日経ったら、
自分で描いた作品を見て、
どうやって描いたのか
わからなくなってて(笑)。


――
えー!?(笑)


松田
もう、"入ってる"んですよ。


横山
描いてるときは?
がむしゃらに。


松田
「うーん!」って集中してるから。
で、ポッと抜けて気がゆるんだら、
逆に……別の人が描いたような
感覚になっちゃって。


――
へえー!


横山
確かに、このロゴを描いてたとき
松田さんのブースに行ったら
手が墨汁だらけで。


松田
(笑)。


――
入ってますねえ。
ロゴの、あのアートは、
墨と筆で描いてるんですか?


松田
実際は、フォトショップで描いたものに
筆でランダム性を足して
またスキャンして…というのを
繰り返してます。


――
テクニックですね。


松田
自分の頭だけで考えてない
(筆で描いた)線の方が
やっぱり勢いがあるので。
人間の手でランダムぽい線を
引こうとしても
どうしてもクセって出るんで。
それから抜け出すために
必死なだけですね。


■昔の手法を思い出しながら


横山
その辺から、
今回はデジタルとアナログの
併用というのを?


松田
はい、意図的に使ってます。
こういう話もあれですけど、
今回、締切がタイトすぎて、
どうしようか、というときに、
受験でデッサンとかやってた頃の
ノウハウを思い出して。


――
昔のノウハウを。


松田
長くても2日とかなんですよね。
美術系の大学の受験って。


横山
そうですね。


――
あ、横山プロデューサーも
美大出身なんですよね。


松田
その頃は、2日って
「長い」って言ってたんですよ。
3時間で仕上げる、
というのを訓練してたので。


――
3時間で!


松田
なのに、例えば
5日もあるのに、
なぜ僕はそれを
短いと感じるように
なっちゃったんだろう、と。


――
はい、はい、はい。


松田
なので、その時の技法を。


――
思い出して。


松田
それでお店に行って。
名前も忘れた材料を買って(笑)。


――
(笑)。


松田
当時の、ペースの早さと、
がむしゃらさを思い出しながら
やってました。


横山
例えば、グラティオンでも
モデペ(*)とか
使ってますよね?


(*)モデリングペーストの略。
アクリル絵の具に混入することで
油絵のように盛り上げた表現を可能にする
速乾性のある地塗り材。


松田
あ、使い始めてます。
このマントとか。


――
ほう、ほう。




松田
ぶっちゃけると、
「この赤いカタマリって何?」
ってなっちゃうと思うんですよ。
でも、なんとなく
自分の中でカッコいいから残す、
みたいな。


――
なるほどー。


松田
でも「残す」っていう
作業が独特で。
そもそも自分で描いたら
必要なものしか
描かないじゃないですか。


――
あ、言われてみれば確かに。


松田
でも、意図しない表現を
残せるんですよ。
いらないのは消せるし。


――
なるほど!


松田
まあ、そういう技法は
昔からあるんですけど


――
がむしゃらにやって
どうすればいいか考えていくうちに、
今回はこれを使うのがいいと。


松田
そうですね。



続きます。
明日は、「シヴァ」がどのように
描かれていったのかを紹介します!

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