今作でQAプランナーを担当した、
林丈二へのインタビュー、最終回です。
――
では、今回の
『ブラッド オブ バハムート』での
QA業務についてお伺いしますけども。
林
はい。
――
ニンテンドーDSで、新規タイトルで、
ワイヤレス通信対応、
といった特徴のタイトルでしたが、
そこでなにか工夫した部分はありましたか?
林
そうですね……。
新規タイトルということで、
今回はわりと早めの段階から
テスターさんを入れました。
意見や、要望出しをした回数は、
ほかのタイトルより
多かったんじゃないかなと。
――
なるほど。
そこで早めに投入したのは
プロデューサーの判断で?
横山
もちろんですとも。
林
そのおかげで反映された意見というのも
たくさんありましたし。
――
早く意見を出したからこそ、ですね。
では、今回QAにかけた規模というのは
ニンテンドーDSの他タイトルと比べると……。
林
まあ、だいたい標準的な規模です。
――
QAプランナーから見た印象として、
順調に進んだ感じですか?
林
……(苦笑)。
――
おおっと(笑)。
林
いや、もちろんスケジュールには
間に合いましたよ。
――
そうですよね。そうですよね。
林
とは言え、裏では
数々の戦いが……(笑)。
――
おっと。これは、あれですね。
あまり触れない方がいいですね(笑)。
次いきましょう!
――
今回のQAの成果というか、
なにか具体的に挙げられそうな
仕事の例はありますか?
林
ああ。
なら「緊急回避」の話が。
最初、入れないって話だったじゃ
ないですか。
――
ああ、そうですね。
先にブログをご覧の方に
説明しておきますと、
このゲームには「緊急回避」という
アクションが入っているのですが、
最初に仕様設計をした段階では、
予定になかったんです。
それは、今作はあくまでRPGで、
「アクションゲームではない」という
コンセプトがあったので、
操作が複雑になるような仕様は
入れないようにしていたからです。
林
で、実際に開発中のゲームをプレイした
テスターさんの意見を集めた結果、
QAから「緊急回避が欲しい」という
提案をしました。
横山
これは開発チームでも、
意見がふたつに分かれてね。
僕はアクションゲームも好きだから
入れてもいいんじゃないかと思って。
ディレクターの鳥山さんは
「RPGだから入れない」と。
――
ちなみに僕も「入れない」派でした。
それは、今回は最初から
アクション要素を強くしないゲーム設計を
していく方針を決めていたんで、
緊急回避を入れて解決するのではなく、
緊急回避が必要ないバランスに調整をして
解決すべきじゃないか、ということで。
横山
でも結局、緊急回避があった方がいい
バランスになったこともあって、
ほかのゲームも参考にしたり、
QAから重ねての
「緊急回避がないなんてありえない!」
といった意見も尊重して、
入れることになりました。
――
はい。
なので、実はだいぶあとになってから
実装されたものだったりします。
横山
あのタイミングで実装してから、
再バランス調整も含め
よく間に合ったと思います。
開発とQAのみなさんの
「ギリギリまでいいものにする!」
という決意のおかげです。
林
そうですね。
――
今回、『ブラッド オブ バハムート』という
プロジェクトの中で、
林さんがチャレンジしたことなどは
ありますか?
林
チャレンジしたことは……。
実は今回、初めてゼロからひとりで
デバッグ現場を作ったんです。
今までは、ある程度できたところに
途中参加で入ってプランニングする、
というパターンが多かったんですけど。
――
今回は、ひとりで全部を。
林
最初から最後までを通せて、
学んだ部分は大きかったです。
――
なるほど。
ユーザーの皆さまからは
見えにくい部分にも
多くの工夫や努力があるわけですね。
――
では最後に。
スタッフの皆さんに
「今後やってみたいこと」を
聞いているんですが、
例えば、QAとして担当してみたい
ジャンルとかありますか?
林
あー。
個人的な好みで言うと、
アクションゲームとか
格ゲー大好き人間なので(笑)。
――
なるほど。
そういうゲームのクオリティには
こだわりがあるぞ、と。
林
そういう意味では、
『ディシディア ファイナルファンタジー』には
とても興味があったんですけど(笑)。
――
あー。
担当できずに残念だったんですね。
林
あとは、今回
『ブラッド オブ バハムート』で
意見出し、要望出しをして
実際にそれが反映されて、
その結果やっぱり良くなった、
というのを実感したんで。
そういう動きは
無くさないようにしたいな、と。
――
なるほど。
林
プロジェクトによっては
意見や要望を出しても、
スケジュールの都合でどうしても
反映できないことがあるんですが
今後はなるべく、担当者と早めに話して
提案していきたいなと。
――
言い続けていこう、
ということですね。
ありがとうございました!
明日は、イブキと親友の剣士
「レン」の特徴と戦い方を紹介します。