今作でQAプランナーを担当した、
林丈二へのインタビューの第2回です。
――
林さんがこれまでに
担当したタイトルっていうと、
どんなものがありますか?
林
最近では、
ニンテンドーDS版の『クロノ・トリガー』や、
同じくニンテンドーDS版の『ドラゴンクエストIV』、
『ドラゴンクエストV』などを
担当しました。
横山
あと『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』も
忘れずに(笑)。
林
あ、そうですね(笑)。
――
ニンテンドーDSのタイトルが多いようですけど、
そういう担当が決まっているわけでは……?
林
いや、そういうわけではないです。
――
単に、経験が多いから回ってくる、
って感じですか?
林
かもしれませんねえ(笑)。
――
例えば、得意なジャンルやタイトルがあったら
担当になる、というものでもないんですか?
林
あー。
もしかしたら、多少は
あるかもしれないですけど……
ただ、「このタイトルやりたいです」って
希望を言ったとしても、
必ず希望が通るわけではないですね。
――
なるほど。
横山
逆に、プロデューサーの方から
QA担当者の指名をすることの方が
多いかもしれませんね。
――
ああ、過去にシリーズを担当して
勝手を知っている人を、と。
横山
そうそう。
――
じゃあ特にQAとして、
担当とか専門の分野に分かれる、
というものでもないんですね。
林
そういうものではないですね。
僕はなぜか、
ニンテンドーDSの『ファイナルファンタジーIII』とか、
リメイク作品が多くなっちゃってますけど(笑)。
――
自然と、そういう流れに
なっちゃってるんですかね(笑)。
――
では、QAプランナーを目指した
経緯をお伺いしたいのですが。
林
ええと……。
もともと、高校生くらいから
「ゲーム業界に行こう!」とは
決めていて。
――
はい。
林
高校を卒業してから、
引っ越し屋とか、接客業とか、
いろんなバイトをしながら、
ゲーム系の専門学校に行ってました。
――
あ、一般のアルバイトを。
林
ホントにいろんなことを
やってましたけど(笑)。
で、その学校の講師の方が
ゲームのデバッグを専門とする会社を
経営していて、
そこにお邪魔しに行ったのが、
そもそもの始まりです。
――
なるほど。
そこでデバッグ専門の仕事が
あることを知ったわけですか。
林
というより、そもそも
デバッグという存在を知ったのが
その学校に行ってからです。
高校生の頃は、
「ゲーム作るには何が要るんだ?」と。
プログラム、グラフィック、サウンド、
プランニング……あとは? と(笑)。
――
まあ、そうですよね(笑)。
林
で、その会社で
デバッグのアルバイトを
2年くらいやってました。
――
ゲーム業界に足を踏み入れて
現場の仕事を覚えていった
わけですね。
林
そうですね。
そして長く続けていくうちに、
将来的なことも考えて
次のステップを目指そうと
考えるようになりました。
――
キャリアアップを目指して。
林
専門学校ではプログラムの
勉強をしていたんですが、
どうも自分には合わなかったみたいで。
じゃあ、何ができるのかと。
絵も描けないし……。
そこで、デバッグからワンランク
ステップアップしようと考えて、
デバッグの「管理側」の仕事に回ろうと、
募集しているところを探したんです。
――
なるほど。
林
ですが、意外とこの仕事って
募集しているところが少なくて……。
――
ああ、そうですよね。
デバッガーのアルバイトは
あちこちで見かける気がしますが、
管理側の募集はあまり見ないですね。
林
そうなんです。
それで見付けたのが、
この会社です。
――
なるほど。
林
でも実はその前に一度、
書類選考で落とされてて(笑)。
――
あら(笑)。
林
1年間ほかの会社で働いてから、
リベンジしました。
――
なるほど。
あきらめずに。
林
入った頃はアシスタントでしたけど、
ちょうど『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』が
終わったところで、
プランナーになりました。
――
それで今に至るわけですね。
――
この仕事の醍醐味とかやり甲斐は、
どんなときに感じますか?
林
それはもちろん、
担当したタイトルが
ザーッと店頭に並んでいるところを
見ると……。
――
ああー!
横山
「やったぜ!」みたいなね。
――
そりゃあ、嬉しいですよ。
林
雑誌で特集されていたり、
たくさん売れているときも。
……もちろん、売っているのは
自分じゃないんですが(笑)。
――
関わったタイトルを
街で見かける嬉しさってのは、
ゲーム開発の特権でしょうね。
林
電車に乗ってると、
隣に座っている人が
やっていたり(笑)。
――
そりゃもう、
気になって仕方がない(笑)。
林
あとは開発中に、
バグが修正されたり
意見が反映されたりと、
完成していく過程を見ていられるのが
楽しいですね。
――
あー。
確かにそれは、
QAという仕事の成果を
肌で感じられる部分でしょうね。
続きます。
明日は最終回。
実際に『ブラッド オブ バハムート』のQAが
どうだったかについて伺います。