「ブラッド オブ バハムート」の開発スタッフ
(共同ディレクター・石山貴也)による
ゲーム解説やスタッフインタビューを
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今作のSEを制作した、
御子柴へのインタビューの最終回です。


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■爆発のレシピ


――
では、実際に
『ブラッド オブ バハムート』の
SEがどのように作られたのかを
ブログを見ている方々にも
紹介したいのですけど。
今回のSEはすべて
内蔵音源(*)で作られていますよね。


御子柴
そうです。


――
まずは、その説明から。


(*)内蔵音源のSE
録音した音をそのまま鳴らすのではなく、
別の短い音の強さや長さを細かく調整して
それっぽい音を作る、効果音の作成技法。
容量が少なくて済むので、DSではよく使われる。


<内蔵音源のSEサンプル>


元の音。これを加工して爆発音にする。


加工したもの。いくつかを調整して重ねると…


このような音ができあがる。


――
と、軽く内蔵音源の説明をしたところで。
実際それを作るにあたって、
どういったことが行われるのかを
お伺いしたいのですけど。


御子柴
うーん……。


――
例えばこういう
エフェクトがあった場合。




――
まず、エフェクトが
動くようになってから、
その動画を見て
音を貼り付けていくかたちで
SEを作っていくと思うんですけど。


御子柴
そうですね。


――
では、上の動画が上がりました。
これに音を付ける必要があります。
ってところで、まず何をするんでしょうか?


御子柴
まあ、絵を見て、
爆発だったら、だいたいもう
「爆発の組み合わせ」みたいなものが
あるんですけど。
「この音とこの音を足すと 爆発ぽくなる」 ていうのが。


――
レシピみたいなものが。


御子柴
そうです。


――
じゃあ、動画を見た時点で
すぐに頭の中にできるんですか?


御子柴
あれとあれを使えば、みたいに。


――
ほぁー。
それはもう、
経験によるものですよね。


御子柴
そうですね。


横山
絵描きさんと一緒だね。
この絵の具とこの絵の具を混ぜれば
この色になるから、っていうのが
すぐ出てくるんだ。


御子柴
あ、そうです。
もう、絵を見た時点で、
ほぼ完成って感じですね。


――
おおお、すげえ!
いや、でも、実際すごく早いんですよ。
SEが実装されていくのが。


横山
どれだけ頭の中に
組み合わせの引き出しが
あるのかが力量だから、
御子柴さんも、
ものすごい大量の引き出しが
あるってことだね。


■カモの笑い声の声優は?


――
なのでこっちも、
ちょっと無茶な注文を
してみたりするんですが(笑)。
カモの笑い声とか。


御子柴
(笑)




横山
ゲームのカモの声ですよね?
あれは自分で録るんですか?


御子柴
あれは自分で録りました。


――
マイクで?


御子柴
そうです。


――
あれは御子柴さんの声なんですか!?


御子柴
そうです、僕の声を
加工したものです。


――
えええー!(笑)


御子柴
ただ、あれって
ふたつ声録ってるだけなんですよ。


――
ほう。


御子柴
「い」と「ひ」を録って、
組み合わせてるだけなんです。



これが「い」のデータ


これが「ひ」のデータ


つなげて、こうなりました。


横山
じゃあ、あの「いっひっひっひ」は
一連の音じゃなくて、
ふたつの声を加工して並べてるの?


御子柴
そうです。


横山
へえー!


■苦労した点


――
今回、苦労や工夫したことなんかは
ありますか?


御子柴
あー。
大変だったのが、
途中で『ラスト レムナント』を
やってたじゃないですか。


――
はい。


御子柴
そっちでずーっと
リアルな音ばっかりやってたんで、
どうニンテンドーDSのデフォルメした効果音を
出せるか、というのが。


――
ああー!


御子柴
途中、わけわかんなくなって(笑)。


――
(笑) ニンテンドーDSなのに
イメージする音が
妙にリアルなものになって
しまったり?


御子柴
そうなんですよね(笑)。


――
なるほどー。
たくさんタイトルに
関わるが故に、
そういった切り替えが大変だと。


御子柴
大変でした。


――
『ラスト レムナント』は
仕様がぜんぜん違いますよね。
効果音はそのまま鳴らすタイプですか?


御子柴
そうです。
制限がそんなにないので。


――
「い」と「ひ」に分ける必要も
ないわけですからね(笑)。


御子柴
まあ、そうですね(笑)。


■チャレンジ精神


――
最後に、みなさんに
今後チャレンジしたいことを
聞いているんですが。
やってみたいことはありますか?
SE以外のこととか。
違うジャンルとか。


御子柴
あー。
なんでしょうね……。
イベントの効果音は
作るのが楽しいですけどね。


――
ああ。
カットシーンに音を付けるのが。


御子柴
なんでしょうね……。
あ、バトルシーンとかは
ちょっと、もういいかな、と(笑)。


――
(笑) 会話が中心の場面とかがいい?


御子柴
そうですねー。


横山
ぶっちゃけ、
バトルシーンばかりって
飽きます?
長年、色々なタイトルで
やっていると。


御子柴
いや、飽きますねー(笑)。
僕がファンタジーものの
ジャンルを担当することが多いから
かもしれないですけどね。


――
ああ、そうですね。
ファンタジーで、剣と魔法で。


御子柴
そんなに剣の音
違わないだろう! と(笑)。


――
(笑)
なるほど、確かに!


横山
剣をシャキーンと抜く音なんて
どうしても同じだろうし。


――
じゃあ、違ったジャンルが
やってみたい感じですか?
カンフー映画みたいに、
上半身裸でも衣擦れの音を
入れたりするようなものとか。


御子柴
そういうのも
全然いいですよね。


――
なるほど。
妙に納得です。
同じのばかりやっていては
引き出しも増えないですし。


御子柴
今までやってないような
音付けをやってみたいですね。


横山
お、でた、チャレンジ精神!


――
例えばどんなものが
やってみたいですか?


御子柴
うちであまりやらないものでは
……レースゲームとか。


――
あー!
実車のエンジン音とか。


御子柴
録りに行ったり。


――
なるほど。
以上でOKです。
ありがとうございました!


御子柴
ありがとうございました。




明日は、イフリート族の総大将
「カモ」の特徴と戦い方を紹介します。


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