今作で巨獣モデルを作った
岡村へのインタビューの最終回です。
――
これでモデル完成?
岡村
まだあるんです。
――
まだあるんですか!
岡村
このままではニンテンドーDSで出ないんで
テクスチャを減色します。
さっきの画用紙を
ニンテンドーDSでちゃんと出せるように
色を減らしてやるんです。
――
最初に塗るときは
好きなだけ色を
使ってたんですね。
横山
これ、どっちがどっち?
岡村
右が減色後です。
横山
なるほど、中間色が
ぜんぶ抜けるんだね。
岡村
で、これを
さっきのモデルに
戻して入れ替えます。
――
はいはい。
岡村
戻してやると
更にすんごい地味になるんです。
だって、色が減ったから(笑)。
――
はいはい(笑)。
岡村
じゃあ色をどっかから
足してやらないといけない
ってことで、
バーテックスカラーをつけます。
頂点カラーとも呼ばれてるもので、
色セロファンのようなものを
上から貼ると思ってください。
――
ほう。
岡村
これが、テクスチャを入れたあとに
バーテックスカラーを入れたものです。
――
なるほど、赤とか?
岡村
赤とか。
これでほぼ完成です。
横山
これ、口が青いのは?
岡村
あ、それは「抜き」と言って
透明になる部分です。
――
実際、そこは
炎がメラメラ動いてる
部分ですね。
岡村
そうそう。
中が見えるんで、中身用に
炎のモデルが用意してあります。
岡村
最後に、巨獣は動くので
こうやって「ボーン」を仕込むわけです。
――
ポーズを取るために
中に仕込む骨格ですね。
間接の位置がそれで決まる、と。
岡村
今回はシンク&フィールのデザイナーさんに
実際のボーンはお願いしてますが
モデルの時点で無理がないかを調べるのに
一応入れてみて、って感じですね。
横山
もっとバカっぽいポーズの画像が
よかったかもね(笑)。
ゲーム中じゃ絶対に
出てこないような。
――
ああ、開発っぽい(笑)。
――
今回はニンテンドーDSというハードで
巨獣を表現することに
チャレンジしたわけですが、
今後、BGとして
チャレンジしてみたいことはありますか?
岡村
うーん……。
ちょっと前までは
"和風"をやりたいって
思ってたんだけどねえ。
――
和風の世界観を。
岡村
でも、最近やられてるからねえ(笑)。
――
(笑)。
日本の古風な世界ってことですか?
ここでいう"和風"の捉え方としては。
岡村
"日本"をゲームに落とし込むときの
省略と強調のバランス、かなあ。
――
ほうほう。
岡村
「省略の美学」というか。
現実のものでも、そうでないものでも、
ゲームに落とし込むときに、
僕らが「何を思わせたいのか」
「何を感じさせたいのか」というところで
余分なものを省略していくことが
すごく大切で。
――
フォトリアルに近づければ
いいってもんじゃないと。
見せたい部分と
そうでない部分に
メリハリが必要なんですね。
岡村
背景なら、タルも家も山も
作ったものを全部見てくれ!
じゃなくて。
――
省略と強調をすることで、
「ここは山が印象的だった」
みたいなことが
意識に残るわけですね。
岡村
そうそう。
僕が手をかけることで、
それがいい具合で
ユーザーに伝わればいいなと
思っている、というか。
そういうことをやりたいです。
――
ありがとうございました!
次回は、シヴァ族を抜けた風来人
「リュマ」の特徴と戦い方を紹介します。