今作で巨獣モデルを作った
岡村へのインタビューの第2回です。
――
ゲームがどうやって作られてるのか
気になっている方もいると思いますので、
巨獣イフリートを例に
具体的にどのような手順で
モデルを作っていったのか
教えてもらえますか。
岡村
ええと。
今回のゲームに関しては
巨獣のアートが先行してたので、
基本的にはそれをどう起こすか、
というのが仕事になります。
――
これですね。
モデル制作の元になった、イフリートのデザイン画。
こういった側面図も用意されます。
――
ニンテンドーDSということで
モデルを作るにも
制限があるわけですが。
岡村
今回は、ニンテンドーDSの3D描画能力の
だいたい5分の3を
巨獣に費やしてます。
――
はい。ニンテンドーDSタイトルとしては
とても贅沢な使い方をしてます。
岡村
まず、何も考えずに
ポリゴンでざっと形を取る。
いわゆるデッサンをします。
――
頭身とか腕の長さとか、
身体全体のバランスを
決めるわけですね。
岡村
で、これが作ったやつです。
――
あ、この時点でもう
ここまで形になってるんですね。
これは彫刻みたいに
削っていく感じで?
岡村
彫刻と言うよりは
粘土に近い感覚かなあ。
伸ばしたり、広げたり。
結構簡単にいじれます。
――
ほー。
岡村
このあと、パーツ分けをします。
――
破壊できる部位も
ここで分けるわけですね。
岡村
で、パーツ分けしたものに
今度は「UV」というのを
設定していきます。
――
その、UV……というのを
ブログを読んでいる方に
分かりやすく説明すると……?
岡村
まあ、一応、
こういう感じになるんですけど。
岡村
簡単に言うと、
「展開図」かなあ。
――
腕の形になっているものを
いったん折り目で広げて
平面にする、って感じですかね。
岡村
そうそう。平面にする。
複雑な形状なので、
細かくなりすぎたり
大ざっぱにならないよう
キッチリやっておかないと
後の作業が面倒になります。
――
なるほど。
伸び縮みする部分もありますし。
岡村
で、ポリゴンの上に、UVに従って
「テクスチャ」っていう
画用紙みたいなものをペタペタッと貼って、
そこに色を塗ります。
岡村
これが、
腕の一部を描いてる状態です。
脚とか、まだ塗られてない状態。
横山
おお!
いきなりすごくなったね。
岡村
で、ここの間に
やってることがあって。
――
おおー。
岡村
その"画用紙"のサイズが
決まってるんですよ。
「テクスチャ容量」って
いうんですけど。
――
はいはい。
岡村
そこにUVをギッチリ詰めないと
無駄になっちゃうので。
キュキュッ!と
パズルしていきます。
――
スキマに埋めていく
わけですね。
岡村
そうそう。
これをやってから、
(さっきの画像のように)
描き始める、と。
――
ほえー。
岡村
描いたあとにUVを
別の場所に移動させようとすると
とっても面倒くさいことが
起こるので(笑)。
画用紙に詰め込むのは
キッチリやっておきます。
――
なるほど。
岡村
あとは、イフリートは
銅っぽい金属質感なので、
そうなるように塗ります。
――
「金属になれ、金属になれ」と
念じながら(笑)。
岡村
そうそう(笑)。
言う言う。
――
で、ペタペタ塗っていくと……。
岡村
塗っていくと、
このように。
――
おおー。
岡村
テクスチャができあがります。
続きます。
明日はリードグラフィックデザイナー編の最終回。
イフリートの完成までと、
今後やってみたいことについての話です。