「ブラッド オブ バハムート」の開発スタッフ
(共同ディレクター・石山貴也)による
ゲーム解説やスタッフインタビューを
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今作のイベントディレクター
石山貴也へのインタビュー、第2回です。


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■ひとりで楽しくやりました


――
じゃあ、『ブラッド オブ バハムート』での
仕事についてだけど、
今回は特にイベント全部を
担当してもらいましたが、
どうでした?


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石山
ええと。
今回のイベントシーンは、
スクリプトという専用の書式で
「キャラを動かす」とか、
「カメラを動かす」「巨獣を動かす」
といった命令を、
テキストエディターを使って
ちくちく記述していって
作ったんですけども。


――
はい。


石山
もう、これが正直、
めっちゃ楽しいんですよ(笑)。


――
おー(笑)。


石山
今回、鳥山さんが書かれた
シナリオというのが、
セリフのほかは、状況や行動だけが
簡単に書かれたものなので、
細かい演出はすべてこちらで
好きにやらせてもらいまして。


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これがイベントシーンの元になるシナリオ原稿。


――
実際のイベント制作の手順は
どんな感じになるんですか。


石山
ムービーとかカットシーンを作るなら
このあと絵コンテ制作が入ると思うんですけど、
まあ、ドットキャラですから
シナリオから直接イベント作成に入ります。


――
はいはい。


石山
そのシナリオを読んで、
まずはキャラやカメラや巨獣を
ステージのどこに配置して
どのアングルで写せばいいかを、
マップをくまなく見て探します。
カメラアングルを変えたりしながら。
まあ、映画でいうロケハンみたいなものです。


――
撮影場所の下見ってことだね。


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開発用の画面。
カメラを動かしてちょうどいい場所や構図を探します。


石山
例えば、このイベントでは
カモがイブキに話しかけて、
ユイが近づいたあと去っていくから
最初の立ち位置はここがいい、とか、
じゃあカメラはここから狙って
俯瞰できるアングルにしよう……と
配置を決めていきます。


――
なるほど。


石山
「あ、ギガントさん!
カメラに映ってないんで
もっと左に寄って!」とか。
そんな監督気分で(笑)。


――
そんな気分でね(笑)。


石山
で、あとはシナリオの通りに
動いてもらってプレビューして、
「あ、カットカット!
ユイさん、そこもう少しゆっくり歩いて!」
といった細かい調整を繰り返します。
で、満足いくものになったら
「はい、OK!」ということで
そのイベントシーン完成です。
おつかれさまでした、じゃあ次いきましょう! と。




完成したイベントシーン。


――
でもそれ、全部ひとりで
やってるわけだよね(笑)。


石山
あ、もちろん(笑)。
実際はひとりで黙々と
数値をいじってるだけです。


――
がははは!(笑)


石山
いや、「はい、OK!」とか
口に出して言ってないですよ!


――
いや、石山さんなら
言っててもおかしくないかな、と(笑)。


石山
うはは(笑)。
ひとつ完成するたびに、
「おっけーでーす!
はい、次いきましょ-!」と。


――
するとたまに、
「すいませーん、
マップに修正が入りました-!」
ということもあって。


石山
ありますねえ!(笑)
「おおっと! じゃあ撮り直しだー!
みなさんもっかい配置からお願いします!
サンチャゴさん、もう少し前に、前に!」
とか言いながら。
……じゃあ、それでいいです(笑)。
そんな仕事です。
ひとりで楽しくやりました。


――
(笑)


■ドットキャラの演技にも注目


――
ドットキャラだから、
表現できることも
限られてくると思うけど、
それでもできる演出は多いんですかね。


石山
例えば、セリフを言うときの
キャラクターの向きひとつでも、
手前を向かせるか、
相手を向かせるか、
空を向かせるか、だけで
印象は大きく変わりますし。


――
そのセリフを
自信があって言ってるのか、
途方に暮れて言ってるのか、
みたいなことがね。


石山
そです、そです。
むしろセリフだけで伝わらない
「心情」とかは
できるだけそういう部分で
表現してあげないといけないな、と。


――
なるほど。


石山
でも、そういった
「限られた範囲で
どこまで表現できるか?」
みたいなところには
わりとやり甲斐を感じます。
燃えます。


――
ドットキャラだからこそ
想像力で補完せざるを得ないところも
またいいですよね。


石山
そうですね。
それで助かる部分もありますけど。


――
今回のイベントシーンの
ドットキャラも感情豊かに動くよね。
そのイベントシーンでしか使われない
専用のアニメーションもあるし。


石山
見せたいシーンでは、
特別な動きも作ってもらいました。


――
うちの加藤清文さんとか
シンク(*)のスタッフさんとか
ドットキャラ頑張ってくれたもんね。
レンの○○○とか。


(*)開発の株式会社シンク・アンド・フィール。
ドットキャラのアニメーションは同社も担当。


石山
ああ、ありましたね。
自分でオーダーしておいてなんですが、
レンが○○○をする動きは
よくできてて、すごいです。


――
あのシーンは印象的だね。


石山
レンが○○を○○ところとか、
○○ところとか、
目線まで細かく動いてて
ビックリしました。
「やるもんだなぁ」と。



続きます。
明日はイベントディレクター編の最終回。
イベントのできるまでと、
チャレンジについての話です。

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