「ブラッド オブ バハムート」の開発スタッフ
(共同ディレクター・石山貴也)による
ゲーム解説やスタッフインタビューを
随時お届けします!












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開発スタッフが開発スタッフに聞く
マニアックインタビューシリーズ。

今回紹介するスタッフは、
巨獣の実機3Dモデルを制作した
リードグラフィックデザイナーです!


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聞き手は、今作の共同ディレクター、石山です。
横山プロデューサーも立ち会ってますので
ときどき会話に登場します。




■巨獣は背景?


――
では、まず、お名前と
今回の担当をお願いします。


岡村
はい。岡村礁です。
今回の担当部分は……
なんて言えばいいのかな(笑)。
キャラクター以外に
画面に出てくるものの統括と、
あと、巨獣作り。
ま、雑用係なんで(笑)。


――
(笑)。
まあ、ここでは
「巨獣モデルの制作」という仕事が
わかりやすいかと思うので、
そちらを中心に紹介させて
いただこうかと思うのですが。


岡村
そうですね。


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――
ちなみに、これまでに
スクウェア・エニックスではどのような仕事を?


岡村
ええと、これの前が、
『シグマ ハーモニクス』と
『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング』を。


――
その頃は、「BG(背景)」という
担当でしたよね?


岡村
BGメインですね。
いや、今回も最初はBGメインだって
話だったんですけども(笑)。


――
まあ、巨獣は
背景なのかキャラクターなのか
よくわからないですけど(笑)。


岡村
今回は巨獣制作に回りましたけども、
本職はBGです。
で、『レヴァナント~』の前が、
『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』。
そちらでは背景と、あと街のNPCも。


――
あ、その頃からもう色々と(笑)。


岡村
色々と(笑)。
その前になると、ファイナルファンタジー系ですね。
『X』とか『IX』の背景を作ってました。


■背景の持つ力とは


――
BGという仕事は、
昔から目指してなったんですか?


岡村
そうですねー。
僕は、初めから仕事としては
背景を作りたくて。
実を言うと、アニメ業界に
背景で応募したことがあるくらいで。


――
あれ、そうなんですか!?


岡村
受かんなかったですけど(笑)。


――
あら。
では、そんな岡村さんが感じる
「BGの魅力」ってどのあたりですか?


岡村
んー。
まず、BGがと言うよりも
「意識に引っかかるもの」が
作りたくて。とても。


――
意識に。


岡村
もちろんその場で
「スゲー!」とも思わせたいのだけど、
しばらく経ってから
なにかに触れたときに思い出して、
「あれ? 俺こういうシーンで
感動したことがなかったっけ?
あ、あのゲームの、あの背景だ!」
ていうのが、理想(笑)。


――
ほうほう。


岡村
キャラクターみたいに
わかりやすい部分じゃないけど、
背景って結構、そういう力を
持ってるんじゃないかと思ってて。


――
あー。
確かに、旅行なんかでも、
「行った思い出」は
風景に刷り込まれてるような
気がしますね。
だからみんな、
写真を撮るんじゃないかと思うし。


岡村
特にゲームって、
自分でやってるから。
うちはRPGが多いじゃない?
キャラクターと一緒に旅行してる、とか、
そういうイメージなんですよ。


――
はい、はい、はい。
そこで、「旅の思い出」として
意識に残るものを。


岡村
究極的にはそこを目指したいなあ、と。
別にリアルなものを
作りたいわけじゃなくて、
「残るもの」を。


――
あとになって
「あの世界にまた行きたい」って
思わせたいと。


岡村
それは思わせたいねー。


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■ファンタジー世界のウソのつきかた


――
BGをやってて、
普段からつい気にしちゃうこととか、
職業病みたいなものって、あります?


岡村
あー。 BGは、細かいことに
常にアンテナを張ってないと
ダメな職業だと思うので。


――
それは、普段見えている
風景とか光景に対して?


岡村
ホコリがどこに溜まるか、とかね(笑)。


――
ああ、はいはい(笑)。
部屋ひとつとっても
ただ散らかってるんじゃなく、
空気の流れがあって、と。


岡村
そうそう。
同じように、草木の種とかも
風に乗って運ばれるものは
散りつもる場所があって。
木の周りにどうやって
草が生えてるのか、とか
常に観察してないと
いけないところなので。


――
「そこに木が生えてる理由」ってのが
ちゃんとあるんですよね。
地形だったり、日当たりだったり。


岡村
あと、窓の大きさも、
暑い地域の窓は小さいじゃないですか。
直射日光を防ぐために。


――
へえ。寒くなると大きくなる?


岡村
いや、それが面白くて。
温暖になるとどんどん
窓がデカくなっていくけど、
寒い地域になると
熱を逃がさないように
また小さくなる。


――
ほー。


岡村
そういったことを、
常に注意して見てる。


――
つまり、街を歩いてても、
海外の写真を見てても、
そこにそれがなぜ生えてるのか、
なぜそれが建ってるのかを
考えちゃうのが……。


岡村
職業病、かなあ(笑)。


――
おー。
それはもちろん、
ゲームの背景を作るときも
意識してるわけですね。


岡村
そこを知っててウソをつくのと
知らないでウソをつくのでは
リアリティが全然違ってて。


――
空想のファンタジー世界であっても、
理屈に沿った木の生え方が必要だと。


岡村
ファンタジーの世界だからって
物理法則まで定義してるわけじゃ
ないじゃない(笑)。
風が吹いてる地域だったら
絶対にこうなる……というのは
キッチリ押さえておかないと
いけないので。


――
それを無視した背景は
やっぱり違和感がある?


岡村
違和感と言うよりも、
インパクトがない。
ただ通り過ぎるだけのものに
なっちゃう。
説得力がないと
やっぱり、さっきも言った
意識に残らないものに
なっちゃうかなあ、と。


――
確かに。
「こりゃウソだな」と思うと
冷めちゃいますからね。




続きます。
明日は、イフリートの3Dモデルが
作られる課程をガッツリ紹介します。


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