みなさん こんにちはっ!
またまた ごぶさたしておりました!
今回は 先日の9月1日 神奈川県の横浜パシフィコで行われた
CEDEC2010の特別招待セッション
「人を楽しませるプロデュース」の会場に おじゃましてきたので そのご報告です!
このセッションでは 株式会社ポケモンの代表取締役社長・CEOの石原恒和さん
『ドラゴンクエストIX』の市村プロデューサー
『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズ』を担当した吉田ディレクターにより
「エンターテインメントと言う人を喜ばせる原点を提供し続けるための考え方」
についてのパネルディスカッションが 行われたのでした。
すでに ほかのウェブ媒体でも このセッションの内容が紹介されてますが
ここでは ワタクシ こーほーが ちょっぴり気になった おはなしを
紹介しちゃいます!
(以下、敬称略)
「制限があるほうが、物作りは洗練されていく」
市村 「僕は『ドラゴンクエストVIII』と『ドラゴンクエストIX』のプロデュースに関わってきたんですが、制限があったほうが、その中でどうやって人を楽しませようかっていうのをとても考えるようになって、かえって物作りが洗練されてくると思うんですよ。
「たとえば堀井さんは限られたテキスト量のなかでどれだけ物語を面白く伝えようかというのをずっと考えてきたわけですし、すぎやま先生も、限られた音の数の中で、どうやってオーケストラサウンドを表現しようか、ということをずっと考えてこられた。
「ポケモンはまさに、携帯ハードでずっとそれをやってこられたからこそ、一番いいところに行きついているのかもしれないですね。
吉田 「据え置き機の場合でも、大容量になるぶん、扱うデータのサイズは大きくなりますし、そのデータを蓄えておく本体のメモリのサイズは決まっているので、結局、そういう制限があるというところでは、意外と苦労するところは変わってないかなぁという印象ですね。特にダウンロードコンテンツとか、ゲームそのものをダウンロードするのもそうなんですけど、やはり通信の転送量を考えると、ある程度の容量に収めなきゃいけないというのもあって、そういう苦労は逆に昔のゲームに近いですよね。
「ルイーダの酒場現象には及ばなかったのは、悔しい思いをした」
石原 「任天堂さんの物づくりもそうなんですけど、小さいサイズでデータやキャラクターを作っておけば、あとあと、一度にMiiを1000人表示してみようとか、リモコンに入れて持ち歩けるようにしようとか、そういうことができるようになりますよね。
「ポケモンも、いかに小さいサイズを基本に物づくりができるか、という意識があるおかげで、たとえばネットワークとか、いろんなところと通信でつながるときも負荷が少なくて済む。やっぱり、待たされるのっていやですからね、パパッとつながってやりとりできる感じっていうのも遊びとして重要で、ポケモンでも最初に、すれちがい通信を使う時のデータのサイズというのもいろいろ考えたんです。ただ……
「任天堂さんの『ニンテンドッグス』から始まって、『ポケモンダンジョン』とか『ポケモントローゼ』とか、複数のソフトにまたがってすれ違う仕組みや、そこでどういうデータを交換すればよいのかとか、そういうことを相当綿密に設計して、遊びを作ってきた自信があったし、その意味でわれわれは元祖だと思ってたんですけど、「ルイーダの酒場」現象には及ばなかったというので、とても悔しい思いをしたんです(笑)。
「じゃあ、ポケモンにはどんな問題があったのかと、私もいろいろ分析して出した結論は、まず同時期に遊んでいる人の数が違っていた。そして、ドラクエは遊んでいる人の中で、声の大きい人が多かった、というのが非常に大きなポイントだったということなんです。ポケモンは非常に長く売れていくソフトではありますけど、同時期にたくさんの人が、一気に遊んでいる環境を作ってきていなかった。それとやはり、ドラクエの場合はターゲット年齢がはるかに上でしたから、すれちがいを求めて出会おうとする人や、それについていろんなネット掲示板に書き込む人が、非常に多いわけですね。
「そういうことですれちがい通信の遊びが実現したっていうのはつかめましたんで、次はここを攻めればいいんじゃないかって、作戦を立ててるところなんです(笑)。
市村 「我々も、すれちがい通信は、実はそんなに気合いを入れて作ったわけじゃなかったんですけど(笑)、ポイントは押さえたつもりで、やっぱりドラクエは「レベルいくつまで行った?」とか「どこまでクリアしたの?」っていう会話によるコミュニケーションがポイントになっていたんですね。
「だからまず、これをすれちがい通信で見えるしようと考えたんです。この人はどれぐらい遊んでて、どれくらいの強さなんだろう、っていうのがお互いに情報交換できて、そのうえでちょっとしたテキストも付けられて。たとえばミクシィは、人と交流していくことで、カウンターが上がっていくというちょっとした楽しみがあったんですが、あんな感じになるとってくといいよね、ってみんなで話していて、すれちがい来客数のカウンターがどんどん上がっていくようにしたんですね。その辺の感覚が、ミクシィをやっているようなユーザーの方たちの感覚にマッチしたんじゃないか、とは思っているんですが。
「それはたぶん、「株式会社ドラクエ」がないからですよね」
市村 「僕が『ドラゴンクエストIX』で挑戦したかったのが、「長く売る」ということなんです。そのためにすれちがい通信機能も入れたわけですし、毎週新しいクエストを配信するとか、Wi-Fiショッピングを展開する、しかもそれを1年間やりますよ、というのを最初に宣言したりしたわけです。
「そのおかげで、今までよりもロングスパンで売るっていうことは実現できたんですけど、それでもやっぱりポケモンみたいに売り上げランキングの中にずっと残っているような売れ方にはならなかった。ポケモンでそれを実現できているのは、いったいどこがポイントだったんだろう、というのを石原さんに伺ってみたかったんですが。
石原 「それはたぶん、先ほど市村さんがおっしゃっていた、「株式会社ドラクエ」がないからですよね。我々が「株式会社ポケモン」で毎日やってることは、「ポケモン」を続けるために何ができるかっていうことを考え続け、そして実践し続けることなんです。テレビアニメとか映画とか、カードゲームとか、あるいはゲーム本体の遊びと過去のゲームとの遊びを確実に連携させていくという仕掛けを新たに作り続ける。それが少しずつ、「長く続く」という部分に響いてくるんじゃないかと思いますけどね。
「やはり全年齢対象であることにはこだわりたい」
市村 「ドラクエもそうなんですけど、「変えない勇気」というのも重要で。それがお客さんにとって安心感につながる。でもその一方で、出した後でどんどん変化させて刺激を定期的に提供する仕掛けって言うのは、まったく相対するものですけど、それもお客さんが望んでいるものでもあったりしますよね。
石原 「僕自身は、コンテンツの表層を変えることは、意外とためらわないほうなんですよね。
「一番最初にも言ったんですが、ポケモンでは全年齢対象に基づくようにしたいという思いが強くあるんです。ただそのときに、ドラクエにカジノがあるように、ポケモンにもゲームセンターがあって、その中でスロットを回してコインがたくさん出てくるというような遊びを作ると、全世界のある地域では、射幸心の問題とか、あるいは賭博性の問題を表現していて、全年齢対象として承認できない、ということが起きたりするんですよね。そういう時に、すごく悩んだんですけど、やはり全年齢対象であるために、たとえば地域ごとに制限する、というようなことは、やらなくちゃいけないと思ったんです。そうしてでも、やはり全年齢対象であることにこだわりたいな、と。
市村 「コアな人向けのプロデュースっていうのもあるんですけど、願わくば、なるべくたくさんの人たちに遊んでもらいたいという気持ちは、プロデュースする側にもありますし、作り手たちにとっても幸せなことなんですよね。やっぱり、全世界の人に遊んでもらえるのが、一番いいんですよ」